ここでは頭部(含む顔面)に着ける類の物、即ち「被り物」に付いて記す。併せて、密接な関わり合いをする髪形に付いても記す。
なお、兜や鉢金、面貌といった甲冑に分類されうる物は、武具の項で言及し、この場では被服の類のみについて記す。
被り物を身につける理由としては、物理的機能性と社会的装飾性が挙げられる。
物理的機能性としては、先ず頭部・顔面の保護が理由としてあげられる。風雨や日光、寒暖、茨、塵埃、小動物、その他汚染から身を守る必要からである。更には鉢巻など、運動性向上の為に身に着けられる物もある。
社会的装飾性としては、ファッションといった風俗・嗜好的な理由、祭事などの宗教的装束などの他に、身分に基づく装束(烏帽子や冠など)が存在する。
特に中世前期に置いては、ひとかどの者は身分に沿った被り物(通常は烏帽子)を常に被り、頭を人前にさらす(露頭)という事を非常な恥と考えていた様である。そしてこの被り物と密接に関わっていたのが、日本独特の髪形「髻(もとどり)」である。
先ず、被り物・髪形の関わり合いと成り立ちに重要な、社会的装飾性の歴史について言及する。その後に様々な被り物のカテゴリーごとに、種類や成り立ちを軍事に関わる事柄を中心に探ってみたい。
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