現在、和服と称した時には着流しの一部式が連想され、腰の下部を被う袴は礼服のごとき印象を与えるが、本来日本人の服飾は袴を着用した二部式であり、着流しが始まったのは室町時代からであるとされている。そしてそれ以後も決して袴が礼服以外で廃れた訳ではない。
(もっとも南方の服飾は防暑の為に緩やかな作りをしており、古くより一部式の可能性はあるし、北方の服飾は防寒の為に近代にいたるまで二部式である。分かる範囲での話に過ぎないのは勿論である。)
こういった点をふまえると服飾を考える上で、下部の着物として袴に言及しないわけにはいかない。