ロシアの老舗プラモデルメーカー:ズベズダが贈る、魅惑の1/72スケール戦国物フィギュアキットにしてアクチュアルウォーゲーム(注1)「将軍」。 その魅力あふれるミニチュアシリーズを追いかけ、紹介していきたい。 ズベズダから1/72スケールで戦国時代のフィギュアを出すという告知が出て以来、かなり楽しみに、と同時に一抹の不安を胸に、待ちわびていたのがこのシリーズ。単なるフィギュアセットかと思ったら、アクチュアルウォーゲームという形としてであった。 「Age of battles」というゲームシリーズらしく、他に古代ローマや中世ヨーロッパ、ナポレオニックをテーマとしたカテゴリーが在り、「将軍」もその一つの様である。 (http://www.ageofbattles.ru/index.php?nav=segun) 「将軍」などと聴くと、出演しただけで国際派女優なんて呼んでもらえる例の映画を思い出し、何やら胡散臭さが漂うが、これがギッチョンチョン、日本人から見ても真面目と感じられるデザインである。雑誌広告の見本を見た時点でも、かなりキチンとしたフィギュアなんじゃないかと期待は膨らんでいたが、その期待を裏切る事の無い出来である。 大変出来は良いのだが、多くの1/72フィギュアと同様に軟質プラスティック製。パーティングラインを消したり、塗装したりするのには苦労するだろう。 |
Окэхадзама 1560/桶狭間1560Конные Самураи/騎馬サムライСамураи・Пехота/侍・歩兵Щтаб Армий Самураев/侍の本陣 |
注1: アクチュアルウォーゲームとはフィギュアを使った戦争シュミュレーションゲーム。 本来は軍隊の机上演習として行われたが、遊技としても古くから楽しまれ、ここからロールプレイングゲームなどが派生する。後にフィギュアが簡易な紙チップに成ったり、コンピューター化されると、普通のシミュレーションゲームと区別する為にか、ディオラマやフィギュアを使うゲームをアクチュアルゲームと呼ぶ様になる。この商品ではテーブルトップゲームの名称が使用されている。 元々欧米では人気があったジャンルだが、近年特に盛んな様で、ロシアでも遂に・・・。 |
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「将軍」のスタートセットの一つ(騎兵の付いた「関ヶ原1600」というセットもある)。 先ずは、箱絵から。 ふむふむ。ボックスアートから気合いが入っているではないか。変な漢字が乱舞する欧米のオリエンタルジパング系とはひと味も、ふた味も違いますな。鎧や武具も正確の様だし、キチンと家紋も描かれているぞ。 ・・・でもよくよく見ると・・・ぐむぅ・・・(後略)。 |
中を開けるとフィギュアの他に、ゲームに使用するテンプレートやら20面ダイス、定規、カード、木の模型などが入っている。 当然、ルールブック(英語版が入っていた。他にも数ヶ国語の版がある様だが、日本語版は無い)が入っている。その他にガイドブックも入っていて、時代背景などについて解説している。その挿絵や図版もキチンとしているし、フィギュアも良くできているなぁ。一見して色物か?と思ったが、ちゃんとした内容にビックリ・・・逆にネタにならないんですけど・・・。 特筆すべきは、幟や旗のデカール。桶狭間の戦いなので「oda」と「imagawa」の家紋デカールが入っている。家紋はちゃんと「織田」家と「今川」家の物。・・・まともな家紋デカールなんて、今まで無かったのではないだろうか?素晴らしい。 惜しい事に、家紋は色地の上に黒の紋章でプリントされており、これが白抜きならば、より正確であっただけでなく、他のキットに流用出来たのに!サイズ的には54mmフィギュアの服に使える大きさなので。残念。 |
直訳すれば「騎馬サムライ」。騎乗した鎧武者のセットである。 しかし良く出来ているなぁ・・・と感心してしまう。箱絵もそうだが、フィギュアの出来も正確だ。確かに粗を捜せば見付からなくも無いが、些細な事の様に思う。 |
上の写真が中身と、その一部のアップ。 一緒に写っている紙は、このフィギュアをゲームの駒として使用する際の能力値が記されている。 旗指物も付属しているのだが、家紋デカールは入っていない。 |
サムライの「歩兵」セット。 一軍団分の指揮官と旗手、侍、足軽(それぞれが駒の種類名)のフィギュアと、ゲームに使う際の数値などが書き込まれた説明書付き。 ちなみに箱絵は、「桶狭間1560」よりも、はるかにまとも。中身のキットにも忠実に描かれている。例えば「桶狭間1560」では指揮官は謎の烏帽子型変わり兜姿だが、こちらではきちんと引立烏帽子姿で描かれている・・・んだけど、やっぱりなんだか変だ。先まで何かが詰まっている様な烏帽子が気持ちが悪い・・・。後ろの足軽も、まるで落ち武者の亡霊の様である。 とはいえ、このシリーズの箱絵は悪くないと思います。 |
キットの内容は、ボックスセットの物と一緒。ただしこちらには旗指物用のデカールが入っていない。結構、あのデカールは重宝するので(というか1/72スケールで、わざわざ家紋なんて描き込みたくない)、それが入っていないのは残念。 |
魅惑のシリーズ「将軍」の新作セット。 今回は武将とその本陣セット・・・と、忍者。 一応説明書にはゲームに使ってくれと書いているが、能力値も何も付いていない。だいたいアクチュアルゲームの中で、こんな物どうやって使えというのだろうか?完全に飾りですね・・・。 |
忍者・・・ああ、遂に出た。 ショー・コスギのアメリカン忍者しかり、TRPGの名作「ルーンクエスト」シリーズに咲いたあだ花「ランド・オブ・ニンジャ」(しかも日本版は発禁騒ぎ付き)しかり、いかがわしい和物には必ず付きまとう影・・・それが忍者。 一寸不安に成ってきましたよぉ・・・このシリーズ。 |
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首ですな・・・結構凝っているものの何だか少しずつ変・・・というのが、この「将軍」シリーズのボックスアートの醍醐味。遺憾なく持ち味を発揮しております。 髻を使って棒にくくりつける事はするけれども(下図参照)、一寸違うぞ。 とはいえ、こういう情景をボックスアートとして描写しようというセンスは外国人ならではのもの。良い意味で。最近の日本人が作る歴史物・時代劇がすっかり面白くなく、意味のない空虚な代物に成っているのは、こういう情景をキチンと描写しないからに尽きるわけですから。 |
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駕籠・・・乗れないな・・・これは一寸乗れないな。 | |
陣太鼓・・・バチの形がなんか変・・・でも、日本の太鼓にもこういうバチが無い訳じゃないので・・・うむぅぅ。 まぁ、バチだけの問題じゃ無いんだけど。 後ろの母衣武者の母衣が、ホオズキみたいなのが気になる。 何だかたまらん。興奮してきた。 |
さて、ボックスアートを堪能した所で、中身を見てみよう。 キットは各フィギュアと、天幕のセット。 細かな怪しい部分は、その細かなスケール(1/72)で、すっかり見えなく成っている。問題なし。バリもほとんど無く、モールドもしっかりしていて、相変わらず出来がよい。 |
箱絵には無かった首札も付き、なかなか良い感じ。 | |
こちら首実検用の首。 こちらも箱絵では、「将軍」シリーズの箱絵独特の「恵方巻きか!」という様なゴン太な髻であったが、キットではキチンと「ざんばら髪」姿。 総じてこのシリーズは、箱絵が多少変でも、キットはちゃんとしていたりする。いつものズベズダは逆なんだが・・・。 |