総括



 半首ほどではないが、これも何だかんだ試行錯誤しながら半年近く掛かってしまった一品である。出来上がった満足感も大きいが、開放感も大きかった。少なくともこれで机の上を材料と工具に占拠され続けた生活から抜け出せるという物である。
 初めはもっと簡単に改造をして遊ぶつもりであったが、始めると根を詰めてしまう癖が出て、結局時間も金も手間も使ってしまった・・・。その分、色々な刀装具の勉強には成ったのではあるが。

 角製の金具類は、当初削り出しから試してみたかったが、適当な大きさの角が手に入らないという事や、実際の部品を手にとってみないと良く分からないという事もあり、結局購入した。なるほど、美術館や博物館でガラスケース越しに凝視しても気付かなかった事が沢山見つかった。
 次回は自作してみようか・・・とは思わない。材料の入手が困難という事もあるが、何よりもめんどくさいので。結局そういう事だ。

 柄に関しては次回は鮫革を巻いてみたい。
 柄紐ももっと細い物(8mmの物を購入して使用した。遺物に巻かれている柄紐は細い物も多い)を自作して巻いてみようかな・・・とも思う・・・気力があれば。せっかく練習したんだから諸捻巻に巻いてみたいな・・・と思うが、中世の軍品がテーマなので、その機会は無さそうだ(諸捻巻は江戸時代の遺物に多く、中世の数打ち物には殆ど無い)。あるとすれば片手巻か。
 柄木自体も次回は片手用や立鼓のある物を造ってみたい。

 何よりも鞘に櫃を再現しないとな・・・。

 希望と反省はつきない。




おまけ

 最後に本筋とは余り関係のない失敗例。下の画像を見れば分かる様に、柄の縁と鯉口がずれてしまっている。
 
 実はこの刀は某時代祭で使われていたという物を貰い受けたのだが、模造刀でチャンバラをしたらしく、刃こぼれが凄かった。ノコギリ状に成っている上に、刃がめくれあがってしまっていた。その状態で抜き差しをすると自動的に鞘の内側を削ってしまう(鞘を逆さにして振ると木屑がボロボロと落ちてくる位)。しかも乱暴に抜き差しをしていたのだろう、鯉口の部分は特に削れてしまい、納刀しても刀が留まってくれない。
 そこで今回、鯉口内側の刃側部分に革を貼って、鯉口をきつくする修理を施した。物の本によって貼る詰め物は、革だったり、紙だったり、朴の木だったりするが、今回は革を使った。何故革かというと、単に目の前にあったからである。加工も楽そうであったし。

 所がいざ修理をすると、縁と鯉口がずれてしまってた。修理する以前の状態で鯉口外側の加工をしていたのだから仕方がない。とはいえ、ここまでずれるとは思わなかった。このずれた分が、鯉口内側の削れた分である・・・。
 ちなみに刃にもヤスリを当てて、めくれた分だけは取ってやった。





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