柄の改造



@分解

A頭を付ける

B塗り

C柄巻

D組み立て


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@分解

 まず最初の分解写真の状態では行っていなかった、柄本体の分解を行う。具体的には金具を外し、柄糸を取ってしまう。
 金具は簡単に外す事が出来る。柄糸はボンドで固定されているが、切り口を入れて力任せに引っ張ればとれる。
 今回は金具・柄紐は一新する為、既存の物は使わない。



A頭を付ける



 まず樹脂製の柄木の頭部分が割れ欠けていたので、ノコギリとヤスリで修正した。若干短くなってしまったが仕方在るまい。シルエットのバランスが崩れる程は短くせずにすんだ。
 
 頭の金具は、他の金具と同じく角製。
 柄木と頭の接合は凹凸を造って組み込むのだが(通常柄木が凸側)、樹脂製柄木の構造上無理が生じた。画像を見れば分かると思うが、柄木は中が肉抜きをしてあり凸型には加工出来ない。そこで柄木の凹みを利用し、凹凸を逆にした。頭の部品にも凹みを彫刻刀で施し、そこに朴の木片をハメ込み凸型にした。
 ただ問題があり、柄木に使われている樹脂は接着剤が使用できないのである。結局、頭はハメ込みと柄紐の締め上げだけで付いている状態で、非常に不安定で不完全な物に成ってしまった。

 


B塗り

 樹脂製柄木に塗りを施す。
 後述する柄巻台に乗せ、カシュー黒で塗りを施した。接着剤が利用できなかったがカシュー塗料は問題なく利用できた。下地が見えなくなる様に二度塗りした。



C柄巻



 縁の金具を付け、柄紐を巻く。
 紐は刀剣愛好保存会で購入した牛裏革製を使用。通常は4m程を必要とする様だが、若干短くなったせいか、或いは通常の諸捻巻ではなく平巻にしたせいか、3mしか使用しなかった。
 柄巻に関しては資料が少なく良く分からなかったが、拵に関する資料や、遺物の画像、模造刀の柄糸その物、作業工程を写した写真などを参考にした。また柄巻の方法を紹介したサイトなどもあり大変助かった。下調べの後に、外した柄糸を使って練習をしてから柄紐を巻いた。
 なお、柄巻の際には専用の台が必要となる。この作業台無しに柄巻は、まず無理かと思う。この柄巻台が必需品とは言え、本物を揃えるのはまず無理なので、代用品で何とかする事にした。利用したのはバイス(万力)とL型金具。L型金具は日曜大工の店などにある物の中から適当な大きさの物を選んだ。金具の短い方の足をバイスで挟むと、簡易柄巻台になる。



 とりあえず巻き終了。
 柄紐の最後の留めがほどけない様に、膠を塗っておいた。



 目貫として一方(指表)にだけ和釘を中央に配した。この時代の数打ち物(大量生産品の刀剣)の拵では、目貫を両面に付けるとは限らない。片面にだけ付けたり、略したりしている事が多い。また目貫も粗末な金具が多いが、紙をよった物や釘で代用されている事も多い様で、今回は釘を片方にだけ置いてみた。
(詳しくは「中世歩兵研究所」の記事を参照)



E組み立て

 柄、切羽、巾脛、刀身を組み立て、目釘で留める。
 柄木を作り直した訳ではないので、鍔を取り去った分、当然隙間が生じる。刀身に目釘穴を開け直す訳にもいかなかったので、その分の隙間を埋める為に新たに部品を噛ませた(赤い矢印)。材料は堅さと加工のしやすさから角を使いたかったが、値段が高価な為に黒檀の木を使った。切羽を型紙代わりにし、鍔と同じ厚み(この例では5mm)の板から削りだした。堅いから選んだ木材だが、その堅さの為に加工には難儀した。削りだした部品にカシュー塗料を塗って、縁の金具(これは金属製)との境が目立たない様に誤魔化した。

 組み立て終われば、とりあえず完成。